芋虫/人間椅子 - そして、江戸川乱歩
泣きのギターの名曲。
曲全体を通して一貫して漂う哀愁がたまりません。
暗く、重苦しく、そして哀しい...。
人間椅子 (Ningen Isu) - 芋虫 (Imomushi)
実は、初めて聴いたときは、単調な曲だなと感じていました...。すいません。
しかし、何度か聴くうちに妙に耳に残り、心に刺さるものがあり、今ではこの曲のもつ独特の雰囲気に魅了されています。人間椅子の他の曲にはない何かを持った、かなり特徴的な曲だと僕は感じています。
ひとことで言うと、精神的に来る曲、かと...。
原作の影響ももちろんありますね。
よければ、この曲のベースとなった、江戸川乱歩作の小説「芋虫」もあわせてどうぞ。
以下、やや脱線しますが。江戸川乱歩作品に関しての個人的な感想をば。
乱歩先生の描く世界ははっきりいって気持ち悪いです。しかし、ただ、グロテスクが故に気持ち悪いというだけではない。なぜこんなにも気持ち悪いかというと、人間が誰しも心の内に秘めている残虐性や狂気、欲望や願望、そういった日常においては理性の箱の中にひっそりと仕舞われている禁断の感情が、露骨に表出しているから。
おどろおどろしい描写に恐れおののきながらも、読者は心のどこかで自分の中にもそんな狂気の側面が潜んでいるのでは、と感じてしまう。禁忌とされ、忌避されているようなものをこれでもかと抉ってくる。
本当に、いい意味で狂ってますよね。
そこに見えてくるのは、人間の皮一枚の美しさではなく、それを剥いだ先にある血と肉と生々しい感情、露出された本能。
理性の箍が一度外れたら、そこにあるのは一体何か。
そんなことを考えさせられます。
この曲の雰囲気が、そう言う江戸川乱歩の世界を強く連想させるがゆえに、精神的に来るものがあるんでしょうね...。