コウノドリ/いのちの重みを考える機会に
この作品に出会ったのは、ちょうど妻が妊娠/出産を迎える頃で、新しい命を授かることがどれほど奇跡であるか、身をもって体感しました。
上の子が逆子だったため、帝王切開になり、その流れで下の子も帝王切開でした。
妻は、子供達が生まれてくるために、二度もお腹にメスを入れたわけです。
僕は(幸いなことに)今まで手術は愚か、病気も大きな怪我もせずに生きてきたため、その大変さが分からないのですが、手術とか想像するだけで恐怖です。
今は絶賛育児中で、毎日が本当に大変ですが、母子ともに無事で、健康に生まれてきてくれたことを思うと、自分も頑張らないとという気持ちになります。
新しい命の誕生を「当たり前」ではない「特別なこと」、と認識させてくれたのがこの作品です(この漫画、そしてドラマと出会っていなければ、妊娠/出産は無事に終わって「当たり前」と思い込んでいたかもしれません)
これから親になるであろう若年層、特に男性に読んでもらいたい。
生まれてくる命に対する責任。
妊娠、出産、そして育児は、想像していた以上に大変なものです。
そして、妊娠から出産を経て、女性の心と体は劇的に変化します。どんなに文明が発展しようと、科学が進歩しようと、それは避けられない現実。周囲やパートナーが理解して、支えてあげる必要があるのです。
そのことが、今の社会だとなかなか分からない。
遥か太古から続く人の営みの中で、自然と親から子、世代から世代へと受け継がれてきたことが、核家族化や少子化、女性の社会進出、その他の様々な要因で、大きく変わってしまい、ぽっかりと穴が空いてしまっているような気がします。
赤ちゃんを抱っこしたパパやママが電車で立っていても、誰も席を譲ろうとしないことがあります。気がつかなかったのならしょうがないでしょうが、気づいていても見て見ぬふりをする、あるいはそもそも譲ろうという考えに至らない、というのは問題です。
また、マタニティーマークをつけた女性にどれくらいの人が気づくでしょうか?
パッと見てお腹が大きくなくても、妊娠初期はつわりがひどかったり、あるいは流産などのリスクが高い時期でもあるので、誰よりも優先的に席に座るべきです。
自分たちが当事者でなかったとしても、新しい命、赤ちゃんや子供たちを守るのは社会の一員としての務めではないでしょうか。そういう社会になっていかないと、誰も子供を生み、育てようなんて思えなくなってしまいます。
自分を生み、育ててくれた両親への感謝。そして、命の大切さ、重さを知ることで、周囲に対する互いの尊重がもっとできるのではないでしょうか。
この作品を、いつの日か親になるであろう子供たちにも、読ませたいと思います。