yuiwai’s blog

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NOiSE - BLAME!の前日譚?在りし日のネットスフィアとカオスの始まり

NOiSEは弐瓶勉氏の短編作品で、おそらくはBLAME!へと繋がる前日譚となっている物語です。

NOiSE (アフタヌーンコミックス)

NOiSE (アフタヌーンコミックス)

 

 

BLAME!においてはネット端末遺伝子が失われたことにより、ネットスフィアへのアクセスは閉ざされ、都市は正常な機能を失っていますが、NOiSEはまだネットスフィアによる統治以前(というか、ちょうど統治が始まる頃)の世界が舞台です。

主人公である裾野結(すそのむすび)は警察官として相棒クローサーと児童誘拐事件を追っていました。が、謎の教団との接触クローサーは命を落とします。

この謎の教団は、「ネットのカオスが生み出した力」を利用しているとの発言がありますが、それはつまるところセーフガードの技術のことです。

セーフガードは、ネットスフィアが統治する世界の安全を守るために新たに組織された団体ですが、その保護対象は「ネット端末移植を受けた人間」だけ。それに対して、結は反発します。ネット端末移植を受けられるのは一部の富裕層のみで、つまるところ、ネットスフィア貧困層を切り捨てることを明言しているからです。
結が追っていた誘拐事件の被害者たちは、貧困層の子供達が中心でした。

彼女は自らの信念で、単独で教団と戦い続けることを誓います。

 

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ところで、BLAME!においては、「ネット端末遺伝子」を持つ人間のみがネットスフィアにアクセス出来るという設定でした。NOiSEにおいては「ネット端末移植(インプラント)」で、微妙に違いがあります。

ちなみに「ブラム学園!アンドソーオン」の中に収録されている短編「ネットスフィアエンジニア」には、「通信端末移植」を受けた人物が描かれていますが、これはNOiSEの「ネット端末移植」とほぼ同義のものと考えられます。

いずれにしても、あくまで、後天的に物理デバイスを埋め込んだものであり、遺伝子のような先天的なものではありません。 NOiSEの世界から、BLAME!の世界までの間に、技術的な進歩があり、わざわざ物理的に端末を埋め込まなくても済むようになったのでしょう。

 

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NOiSE本編の話に戻ります。

教団に追われ、一度は命を落とした結でしたが、セーフガードによって蘇生され、強制的に改造を施されます。セーフガード曰く「最高の技術」を投入したそうで、その能力は強力無比です。

セーフガードは彼女に「教団の破壊」と「ネット端末移植を持たない人間の排除」を命じますが、先に触れた通り、後者は彼女の信念に反しており、両者は決裂します。

 

その後のネットスフィアの繁栄については本作には記載がありません。あるのは、カオスが加速し、荒廃した世界で戦い続ける結の姿、そして無尽蔵に拡張を続ける都市。まさにBLAME!の世界です。その間、三十世紀もの時間が経過しているとのことですが、果たしてネットスフィアによる統治はどの程度機能していたのでしょうか?

 

 

BLAME!の時代においてもネットスフィア自体は健全で、あくまでもそこに正規にアクセスできる人間がいない、という状況のはずですが、まあ、利用者がいないサービスを健全と呼ぶのはどうか、というところですね...

 

 

本作を通して、BLAME!だけでは見えてこなかった組織の成り立ちや関係性が見えてくるので、短い作品ですが非常に重要な役割を担っていると思います。